北海道山岳ガイド協会 アルバム
 2005年2月18日〜23日・2月24日〜3月1日
台湾内政部消防署特種捜救隊「冬期雪上基礎技術総合教育課程」
当会樋口理事のご好意とご提案により、台湾内政部の特殊救助隊に対する雪山訓練前期課程を協会としてコーディネートさせていただきました。北海道の山のプロを自認する当会としては大変名誉なことでもあり、国際的な事業に参画できましたことは今後の活動の自信ともなりました。」樋口理事、石川理事ありがとうございました。
     樋口 和生 理事 (MASH代表)
主任指導員 樋口 和生 理事 (MASH代表) 石川 裕司 理事 (ドルジェ代表)
     秋田谷英次 阿部幹雄
コーディネーター 樋口 和生 理事 (MASH代表)

Page   123
2月24日(木)
「雪中露営技術訓練」 手稲パラダイスヒュッテ。
目的: 雪山での露営技術のひとつであるイグルーの製作技術を習得する。
内容: 前日までの十勝連峰の訓練で、猛吹雪の中での活動となったため、午前中は休養とし、午後食料の買出し後手稲山中腹にあるパラダイスヒュッテに移動。
ヒュッテ到着が16:30となったため、イグルー製作は翌日に延期した。

2月25日(金) 
 「雪中露営技術訓練」及び「札幌市消防局雪崩捜索訓練見学」
 目的: 雪山での露営技術のひとつであるイグルーの製作技術を習得する。
 内容: 数種類あるイグルー製作方法のうち、最も難易度の高い作り方でイグルーを作成。
雪を踏み固め、スノーソーでブロックを切り出し、切り出したブロックをスノーソーで整形しながらドーム状に積み上げた。
(製作所要時間:約3時間半)
午後は、手稲山山腹で開催された札幌市消防局の雪崩捜索訓練を見学した。(札幌市消防局手稲消防署・南消防署山岳救助隊・消防航空隊・手稲消防団による合同訓練)
3名が雪崩に流され、1名は自力脱出、2名が雪崩に埋まり(うち1名ビーコン装着、1名ビーコン未装着)、自力脱出した者から救助要請が入ったという想定での訓練。
ビーコンでの捜索活動、隊列を組んだゾンデ捜索、ヘリコプターによる負傷者の収容といった大規模な訓練。
台湾ではここまで大規模な訓練はあまり行なわないので、参考になったようだ。

イグルー製作/踏み固め

イグルー製作/ブロックを切り出す

イグルー製作/一段目

イグルー製作/ニ段目

イグルー製作/天井

イグルー製作/完成

2月26日(土)   
「厳冬期雪山登山基礎技術過程4」ニセコ  
目的: 雪上急斜面でのロープワーク。特に雪面でのアンカーの取りかたを重点的に学ぶ。  
内容: 午前中車両にてニセコに移動。悪天により十勝連峰で充分に学びきれなかった内容を中心にロープワーク 訓練を実施。
特にスノーバーや雪柱を利用したアンカー(支点)の取り方を学んだ。

2月27日(日)   
「雪上初期課程4」  
目的: 滑降用具として有効なスキーとスノーボードの技術を高める  
内容: スキー場にて3名はスキー、2名はスノーボードを体験。雪の斜面での滑降の有効性を確認するとともに技 術の向上を図った。

2月28日(月)   
「雪崩対策基礎技術課程1」  
目的: 雪山での最大の脅威である雪崩について、その対策に必要な知識と技術について総合的に学習する。  
内容: 午前中手稲パラダイスヒュッテに移動。午後、ビーコンによる捜索技術訓練。 デジタルタイプのビーコンによる捜索技術をマスターした。最初は使い慣れない機会に戸惑いつつも、回を 重ねるにつれてみるみる上達し、最終的には30m四方に埋まったビーコンを全員が5分以内に発見するま で技術が向上した。ビーコンの電波特性や使用方法について全員がよく理解していた。

3月 1日(火)   
「雪崩対策基礎技術課程2」  
目的: 雪山での最大の脅威である雪崩について、その対策に必要な知識と技術について総合的に学習する。  
内容: 午前は主に秋田谷先生による講義と実技、午後は樋口と阿部による実技と講義を行なった。
・ 講義 「雪崩の基礎」 
雪崩の発生メカニズムと雪崩災害の現状と予防について学んだ。
・ 実技 「積雪断面観察と弱層テスト」 
約210cmの積雪の断面を掘り出し、積雪層の観察と雪の結晶の観 察を通して雪の特性を理解し、その後面発生表層雪崩の引き金となる「弱層」の有無を判別する「弱 層テスト」を行なった。
・ 実技 「ゾンデを使った組織的捜索方法」 
隊列を組んで組織的にゾンデ捜索を行なう方法のうち、主に2点 ゾンデ法を学んだ。
・ 実技  「セルフレスキュートレーニング」     
雪崩事故現場を想定した救出シュミレーションを通して、雪崩事故の初期捜索の動きと捜索方法を習 得した。 想定:雪山登山中に仲間3名が雪崩に流されて埋没。うち2名はビーコンを装着し、1名はビーコンを 装着していなかった。発生から20分以内に全員を発見救出することを目標に置いた。 それまでに培った知識と技術を総動員して、見事なチームワークのもと約13分で3名を発見救出する ことができ、2日間で学んだ技術と知識が確実に隊員の身についていることが確認された。
・ 実技 「雪中埋没体験」     
実際に雪の中に約1m埋まることによって、雪崩に流されて埋没した時の状況を把握した。時間の都 合で1名しか埋まることができなかったが、埋まった隊員は真っ暗な状況の中、雪に圧迫されて身動き の取れない状況を身をもって体験することができた。
・ 講義 「雪崩対策の基礎」     
2日間の内容を再確認するとともに、15分以内のセルフレスキューの重要性を再確認し、雪崩埋没 者の救出に当たっては低体温症を常に考慮に入れて救助死を減らす努力をする必要性を学んだ。 また、凍傷を患っている者に対する処置についても学んだ。 終了後札幌市内のホテルに移動。帰着20:00。

3月 2日(水)
当初、雪崩対策基礎技術課程3を組み入れていたが、隊員の希望により終日フリースケジュールとした。


室内での雪崩のレクチャー

積雪断面観察

積雪断面観察

弱層テスト

ビーコン捜索

セルフレスキュートレーニング

Page   123

© Hokkaido Mountain Guide Association All rights reserved.